あらすじ
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。
(双葉社より)
感想・レビュー
第六回本屋大賞【大賞】受賞作品。
そして湊かなえさんのデビュー作です。今では「イヤミスの女王」とも言われている湊かなえさんは実は初読みになります。
物語は復讐のHRから始まり語り手が章毎に変わります。
正直4歳の女の子が中学生に殺されるシーンは、心が痛くて結構メンタルきっついなぁと思っていましたが、ラストの復讐で物議は醸し出すでしょうけど、個人的にはかなりの才能を感じました。
殺した奴も虐めた奴も復讐した奴も子供を捨てた奴も誰が悪いのか、誰を憎むべきなのか、その境界線が非常に上手く感心しました。
私自身、気違い地獄だろうと大抵の小説は読めると思ってましたが、やっぱり幼い子供が悪意的に殺されるシーンだけは厳しいんだと初めて知りました。
何というか見てられない感じ.
こんな可愛い幼い子供が殺された挙げ句、しょうもない作品だったらバッシングの嵐でしょうけど、小説的評価はマイナスより圧倒的プラス値が高いかと。
構成力や容赦なく踏み込める力強さ、作品内の発言なども新人とは思えないほどの力量です。
不安な自分でもどこか安堵を覚えている不思議な著者でもありました。
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