変な家【あらすじネタバレ感想】不気味な間取り図から見えてくる真相とは!?

あらすじ

知人が購入を検討している都内の中古一軒家。

開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。

知り合いの設計士にその間取り図を見せると、 この家は、 そこかしこに 「奇妙な違和感」が存在すると言う。

不可解な間取りの真相とは!? 突如消えた元住人は一体何者!?

(飛鳥新社より)

感想・レビュー

YouTube動画で大バズリ、大売れしている雨穴さんが書いた本。

本書の内容とは関係のない雨穴さんの動画は過去に見たことがあったと思うのですが、とにかく一度読んで見たかったのでやっと読めました。

読了後に「変な家」の動画も見てみましたので、あとで言及します。

ひとまず読了後の所感としては、いやぁ不気味で怖かったなぁ…(私がびびりなので、笑)というのと、あとはそれなりに楽しめたかなぁと思います。

一応先に書いておきますが、本書は小説っていうか、言い方が難しいのですが、完全な小説って訳ではないんですよ。

私は電子書籍版を購入して読んだのですが、普段読んでいる小説との違いはですね、まず会話がルポ形式のようなインタビューとかであるような感じで進んでいくんですよね。

稀にこういうルポ形式を使用した小説に出会うこともあるので、完全に小説ではないとも言えなし、かと言って本作はれっきとした小説だ!というのも、正直わかりません。笑

私個人の意見としては、別に小説の形式や表現について自由であっていいと思う派なので、この議論は一旦ここまでにしておきます。

そもそも雨穴さんは小説家ではなく、ウェブライターなので、この表現方法は当たり前といえば当たり前なのかなとも思います。

でそのルポ形式の会話文に、主人公の一人称内面を足して、文庫本にしたような感じでしたね。

あとは作中に図やメモなどが頻繁にあって、すごく読みやすかったです。

私でも1日ぐらいでさくっと読めちゃったので、普段小説を読まない人であっても、簡単にミステリー小説の雰囲気を味わえるようになっているのも、それはそれで良いなぁと思いました。

昨今の小説離れは仕方ないですが、こういう話題になった作品がね、少しでも読者の間口を広げてくれるのは業界的にも有り難いのかなと思います。


さて、ざっくり内容も振り返っていこうかなと。

まずタイトルにもある「変な家」の間取図を軸に、その家が建てられた過程や、動機を掘っていくことになり、やがてその真実は恐ろしいものだった……というのが分かっていく感じですね。

本当にざっくりと書きましたが、一応、元ネタの動画も張っておきます。

再生数も2000万回以上回っていて、びっくりしました。笑(2024年5月末現在)

読了後に動画も見たのですが、本文庫の前半部分だけのみで、そこから雨穴さんが本にするにあたって、約6万字ぐらい肉付けしていったみたいです。

文庫版のあとがきを読んで知ったのですが、本作の内容は実際に起きた事件を扱っているらしく、そこから創作を足してというような感じなのかな?と。

前半部分を読んでからドキドキで、「このあと後半はどうなっていくんだ…」「この不気味な家が建てられたホワイダニットは何なんだ…」と思っていたら、

意外と後半は古典的というか、日本の古いミステリーではよくあるような家系問題へと繋がっていきました。

最後もある程度の謎は謎のままにして終わる感じを鑑みても、雨穴さんかもしくは書籍化を提案した編集さんが、ミステリーがお好きなのかなぁと勝手に推測してみたりもしますが、笑)

全然違うかったらごめんなさい。笑

しかしここまで書籍が売れたり、映画化などする辺り、時代は日々変化しても、流行は一周してまた循環するもんなんだなぁとも思いましたね。

最後に本作の違和感の方も書いておこうかなと思います。

まず「左手供養」に関して。そもそも10歳の子供が人(子供)を殺すとして、果たしてここまで簡単に出きてしまうのだろうか?という純粋な疑問ですよね。

人殺しを指示しているおじいちゃんも別に殺しのプロではないですし、おじいちゃんの家の間取図を見ても、人殺しを育て上げられる環境とも思えない。

さらにおじいちゃん本人は、実際に人を殺したことがない、世間知らずのおじいちゃんという設定でもあるんですよ。

出てくる主要人物(片渕姉妹)が、私とほぼ同世代だったりしたので、育った時代背景を鑑みても、ここまでの殺人事件を世間にバレずに育て隠すのってすごく難しいことだと思うのですよ。

いくら子供を洗脳すると言ってもね。

詳しく書かれていない本家側の謎部隊の事後処理だってそうだし、何をどうやったらそこまで警察や世間の目を完璧に欺けるのだろうか?

もしそれが可能なら書いて欲しいというのも正直なところ。

そして何より本作は、子供がどのようにして殺したのかがそもそも明記されていない。

どんな武器を使ったのか、使ってないのか。被害者の子供は暴れたりしなかったのかなど、書き出したらキリがありません。

まぁ本作は本当のミステリー小説ではないので、ハウダニットなどをどこまで追及するかは迷いましたが、やはり普段からミステリを読む人間としては、どうしてもモヤモヤが残りますよね。

仕方ありませんが。笑

ただ色々な真実が明るみに出てくる展開、仕掛けはすごく良かったかなと思います。

それでは今日はここまでにしようかなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

季節も暑くなってくる頃合いだと思いますので、体調管理にはお気をつけて。

ではまた。

紹介した本