あらすじ
今、明かされる「ガリレオの真実」
房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。「愛する人を守ることは罪なのか」
(文藝春秋より)
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。
感想・レビュー
ガリレオシリーズも第十弾、シリーズ累計も1400万部突破、最新長編。
ということで、読む前から非情に楽しみで仕方ありませんでしたがようやく読了。
シリーズも厚みを重ねてきたということで、ここにきてガリレオの真実、過去が判明しました。
読後の所感としては、もう面白いのは面白いです。笑
当たり前にこれを為せる力量は、著者の別作品で充分体感していますし、流石としか言いようがありません。
ただ流石に前回の「沈黙のパレード」を越えるトリックなどは、ありませんでした。
簡単にあの面白さ、クオリティーを越えられるとは思いませんし、今後シリーズとしての伏線を含めても中々難しいとは思います。
ただ、一つだけガリレオには、アメリカ時代の話がまだ解禁されていないのです。
もし舞台をアメリカに移して描く、ということが可能ならすごく楽しみではあります。
その場合は、草薙との再会した時の会話から鑑みても、おそらく警視庁システムが使えなさそうなのですが、東野さんなら絶対に面白くやってくれる、という謎の安心感もあります。笑
話が逸れましたが、さて今作の物語は、どちらかと言うと愛情や友情など、人情的なシナリオだったかなと思います。
本シリーズの特徴でもある「サイエンストリック」が一つも無かったので、ハナからそういう部分を描きたいという思いが東野さんにあったのかもしれません。
東野圭吾作品によくあるミステリーの、ガリレオ版って感じでもありました。
タイトルも「透明な螺旋」ということで、装丁にもDNA構造のような絵が書かれていて、それが物語の事件の一つの肝になっていきます。
今思えば、DNAというのは立派な科学の分野ですし、一応入ってるやろ、的な感じなんですかね。笑
世界観もいつの間にかコロナ禍になっており、マスクやリモートワークなどの言葉も出てきます。
東野さんは過去に『時生』という作品の主人公でも、似たような遺伝子系ギミックを使っていました。
なのでお話は面白いんですけど、トリック的には少し物足りないかなと終盤まで思っていました。
ですがそんな読者を二点、三点とひっくり返してくれましたので、概ね満足です。
そして「湯川」という姓は、養子縁組からだったことが判明。
さらに本当の母親が事件に絡んで来る…今思い返せば主人公に有りがちな展開といえば確かにそうとも思えますが。笑
その真相をここに来て内海薫に話すというシーンがもう更に匂わせにきており、早く二人の距離が近くなり、新婚旅行中に事件に巻き込まれる…みたいな話もぜひ読んでみたいなとも思いました。笑
ふと過去シリーズを思い返し、私は理系でも何でもないんですけど、ガリレオみたいな先生に出会いたかったなと思いました。笑
それくらいシリーズを通して、湯川学という一人の人間が時に後悔し、成長していく姿を魅力的に描かれていたという事なんですかね。
確か東野さんは、もう小説の神様の気まぐれが無い限り、物理トリック強めの短編集は書く予定はないとも言っていますし、今後このガリレオシリーズがどうなっていくのかは不明ですが、さらなる最新作を気長に待ちたいと思います。
何年後になるかは分かりませんが。笑
では今日はこの辺で終わりたいと思います。
12月に入り、もうすっかり寒くなってきましたので、皆様体調にはお気をつけて。
さようなら。
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