あらすじ
日本一有名なネコの可笑しな人間観察日記。
中学教師苦沙弥先生の書斎に集まる明治の俗物紳士達の語る珍談・奇譚、小事件の数かずを、先生の家に迷いこんで飼われている猫の眼から風刺的に描いた、漱石最初の長編小説。江戸落語の笑いの文体と、英国の男性社交界の皮肉な雰囲気と、漱石の英文学の教養とが渾然一体となり、作者の饒舌の才能が遺憾なく発揮された、痛烈・愉快な文明批評の古典的快作である。
(新潮社より)
感想・レビュー
漱石先生のデビュー作になります。
日本では生きていれば誰もが一度くらいは「〜〜は〇〇である」などと、何となくどこかで聞いたことのあるくらい、常套句のようなタイトルです。
そして本編はかなり長いです。
前半から割と面白いです。
吾輩なる猫の描写から、主人と細君の関係性や、癖のある人物が出てきて、笑えます。
漱石人生の断片が拾えてまた、楽しめます。
ただ終盤少し前辺りからはかなり失速します。中弛みを感じました。
吾輩が貫き通せてないからかもしれません。全体の芯がぐらつく印象を覚えました。
単に締めるまでの道程が難しかったのかもしれません。
最後のオチをもっと早くやっていたら、評価はまた変わっていたはず。
そういう意味を含めてやはり「こころ」の構成は素晴らしかったですね。
漱石先生とはいえ、デビュー作ですから、技術不足はあって当然です。