あらすじ
第157回芥川賞受賞作。
大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。
北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、
ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、
「あの日」以後、触れることになるのだが……。樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。
(文藝春秋より)
感想・レビュー
第122回文學界新人賞受賞、第157回芥川賞受賞作
著者さん初読みになりますが、ダブル新人賞受賞の王道コースですね。素晴らしいです。
さて物語の舞台は岩手。まず文章もそうですけど、小説が好きな人のツボをよく知っている。
純粋に上手いなぁと感じました。
まさに文学的人間が書く文章の匂いだった。
でも普段純文学を読まない人が読む芥川賞受賞になってくると、中々伝わりづらいのではないかと言うのも正直な所。まあ勝手に選ばれた作者に罪はないでしょう。
この作品はこれでいいとも思うし、もっと日浅を掘り下げてみても面白いかなと思いましたが、それはそれで絶妙なバランスを保った空気感が崩れそうな感じもする。だからこれでいいんだと私は勝手に思うことにしました。
個人的に自然や風景の描写力はかなりのものかと。
たが芥川賞の器としては評価し難いのも事実か。いや、元来の芥川賞はこうではなかったか。
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