あらすじ
俺はまだ、神に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、
そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
(幻冬舎より)
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?
感想・レビュー
第156回直木賞受賞作、第十四回本屋大賞”大賞“受賞作品
個人的には恩田陸さん初読みになります。
物語はピアノコンクールのお話です。
今まで幾つかクラシック音楽のお話を読んだり観てきましたが、音楽への様々な思いがこれ程込められている作品も珍しいと思います。
内容は少年誌の王道のような感じで万人受けはしますが、1100枚くらいある長編です。
その一つの理由に構想12年の果てしない苦悩があったそうです。
良ければこちら記事もオススメなので貼っておきます。
小説『蜜蜂と遠雷』ができるまで。作家と編集者が共に歩んだ12年間 キャリアハック
この記事の内容の中でも特に驚いた一部を引用させてもらいます。
志儀様
(ライフハックより)
昨日はすみませんでした。
行き詰まった上に
ここんとこ二日くらい寝ていなかったので
最高に気分が悪くなり気絶。
ようやくできました。
もうデッドラインを過ぎていますでしょうが
何卒何卒宜しくおねがいします。
やはり音楽小説はむつかしいです。先が思いやられます。
恩田陸
このような恩田陸さんと担当編集の志儀保博さん(幻冬舎)のやりとりが読めて作家としての大変さと凄さが伺えました。
物語は予選が進むにつれて、楽しくてしかたなかったです。
実際アルバムを聴きながら読み進めでいたので臨場感も勝手にあって楽しめました。
個人的にラフマニノフのコンチェルトは2番と3番がとても好きなので、脇役でも出てきてくれて嬉しかったです。
「アフリカ幻想曲」の風間塵がめっちゃかっこ良いよかったですね。
一人一人のキャラクターがピアノに人生を賭けて、互いに切磋琢磨しあい、刺激的で良い影響を与えあう。
確かにピアノだけが人生ではないのかもしれないけど、人間は何かを真剣に挑む姿勢は何よりも生きていて輝いているように思えました。
そんな小説でした。
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