失われた時を求めて(1)スワン家のほうへI 【あらすじネタバレ感想】プルーストが描く二十世紀フランス文学の古典

あらすじ

ひとかけらのマドレーヌを口にしたとたん全身につたわる歓びの戦慄―記憶の水中花が開き浮かびあがる、サンザシの香り、鐘の音、コンブレーでの幼い日々。

重層する世界の奥へいざなう、精確清新な訳文。プルーストが目にした当時の図版を多数収録。

(岩波書店より)

感想・レビュー

二十世紀のフランス文学といえば、まずマルセル・プルーストのこの本の名前が出てきます。

全14巻という壮大なシリーズであるので、物怖じしそうになりますが、それは一先ず置いといて、まぁとりあえず読んで見るか、の精神で読んでみました。

まず読んだ所感としては、正直なところ難解な部分もあるけれど、当時の穏やかな情景描写だったり、フランスの上流階級の社交を気軽に楽しむという点では楽しめました。

経験上、個人的にではありますがこういう古典作品の難解に思える部分は、大体似通っていて、難しい言葉というのは殆どなく(寧ろ日本語を扱う日本文学の方が言葉は難しかったりする)、哲学的思想を言語化する時だと思っています

こういう頭で考えられた思想的な文章のロジックって、時代背景や環境下にも依存したりするので、人ぞれぞれの癖があって、解き明かすのはおそらくめっちゃくちゃ難しいと思うんですよ。笑

あと翻訳版ということもありますし、学者でもない限り、特に無理に理解する必要もないかなと。

個人的には紅茶に浸したマドレーヌから過去の回想が始まる、という有名な流れも読めて少しだけ満足しました。

のちにプルーストに憧れた多くの物書きは、色々と真似していたそうです。笑

この香りから記憶(脳)を呼び覚ます現象は、心理学的にもプルースト効果、プルースト現象とか呼ばれているそうです。

物語の内容は、殆どが小説家志望「私」の回想で、母親の愛に飢えていたり、静かな読書を求めていたりと、それだけではありませんが、物語が前に進むということはありませんでした。

解説曰く、のちに同性愛についても深堀りされているらしく、確かにそれに繋がるような描写も多々あったかのように思えます。

調べてみたらマルセル・プルースト自体が同姓愛者だったみたいです。過度な神経質、神経症の持ち主らしく、その辺りの逸話には少し驚きましたが。

本編には、絵画や図なども插入されており、多少読む手助けになると思います。

多くの人が全14巻を読破することは無理だと思いますし、私も続編はおそらく読みませんが、笑)一冊くらいは読んでみても全然巻いいかな、と思います。

翻訳は、吉川一義さんでした。

では今日はこの辺で、お疲れ様でした。

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