
皆さんこんにちは。こんばんは。
前回は歴代の芥川賞の受賞作品を最新までまとめてみましたが、今度は反対に直木賞の歴代受賞作品をまとめていきたいと思います。
また同じようにあらすじと自分の読んだ作品などがあれば感想・レビューも載せておきます。
では参考程度に、読みたい作品を探してみてください。
芥川賞や直木賞関連に興味のある方はこちらの記事もオススメです↓
目次から探す
- 第169回(2023年・上半期)
- 第168回(2022年・下半期)
- 第167回(2022年・上半期)
- 第166回(2021年・下半期)
- 第165回(2021年・上半期)
- 第164回(2020年・下半期)
- 第163回(2020年・上半期)
- 第162回(2019年・下半期)
- 第161回(2019年・上半期)
- 第160回(2018年・下半期)
- 第159回(2018年・上半期)
- 第158回(2017年・下半期)
- 第157回(2017年・上半期)
- 第156回(2016年・下半期)
- 第155回(2016年・上半期)
- 第154回(2015年・下半期)
- 第153回(2015年・上半期)
- 第152回(2014年・下半期)
- 第151回(2014年・上半期)
- 第150回(2013年・下半期)
- 第149回(2013年・上半期)
- 第148回(2012年・下半期)
- 第147回(2012年・上半期)
- 第146回(2011年・下半期)
- 第145回(2011年・上半期)
- 第144回(2010年・下半期)
- 第143回(2010年・上半期)
- 第142回(2009年・下半期)
- 第141回(2009年・上半期)
- 第140回(2008年・下半期)
- 第139回(2008年・上半期)
- 第138回(2007年・下半期)
- 第137回(2007年・上半期)
- 第136回(2006年・下半期)
- 第135回(2006年・上半期)
- 第134回(2005年・下半期)
- 第133回(2005年・上半期)
- 第132回(2004年・下半期)
- 第131回(2004年・上半期)
- 第130回(2003年・下半期)
- 第129回(2003年・上半期)
- 第128回(2002年・下半期)
- 第127回(2002年・上半期)
- 第126回(2001年・下半期)
- 第125回(2001年・上半期)
- 第124回(2000年・下半期)
- 第123回(2000年・上半期)
- 第122回(1999年・下半期)
- 第121回(1999回・上半期)
- 第120回(1998年・下半期)
- 第119回(1998年・上半期)
- 第118回(1997年・下半期)
- 第117回(1997年・上半期)
- 第116回(1996年・下半期)
- 第115回(1996年・上半期)
- 第114回(1995年・下半期)
- 第113回(1995年・上半期)
- 第112回(1994年・下半期)
- 第111回(1994年・上半期)
- 第110回(1993年・下半期)
- 第109回(1993年・上半期)
- 第108回(1992年・下半期)
- 第107回(1992年・上半期)
- 第106回(1991年・下半期)
- 第105回(1991年・上半期)
- 第104回(1990年・下半期)
- 第103回(1990年・上半期)
- 第102回(1989年・下半期)
- 第101回(1989年・上半期)
- 第100回(1988年・下半期)
- 第99回(1988年・上半期)
- 第98回(1987年・下半期)
- 第97回(1987年・上半期)
- 第96回(1986年・下半期)
- 第95回(1986年・上半期)
- 第94回(1985年・下半期)
- 第93回(1985年・上半期)
- 第92回(1984年・下半期)
- 第91回(1984年・上半期)
- 第90回(1983年・下半期)
- 第89回(1983年・上半期)
- 第88回(1982年・下半期)
- 第87回(1982年・上半期)
- 第86回(1981年・下半期)
- 第85回(1981年・上半期)
- 第84回(1980年・下半期)
- 第83回(1980年・上半期)
- 第82回(1979年・下半期)
- 第81回(1979年・上半期)
- 第80回(1978年・下半期)
- 第79回(1978年・上半期)
- 第78回(1977年・下半期)
- 第77回(1977年・上半期)
- 第76回(1976年・下半期)
- 第75回(1976年・上半期)
- 第74回(1975年・下半期)
- 第73回(1975年・上半期)
- 第72回(1974年・下半期)
- 第71回(1974年・上半期)
- 第70回(1973年・下半期)
- 第69回(1973年・上半期)
- 第68回(1972年・下半期)
- 第67回(1972年・上半期)
- 第66回(1971年・下半期)
- 第65回(1971年・上半期)
- 第64回(1970年・下半期)
- 第63回(1970年・上半期)
- 第62回(1969年・下半期)
- 第61回(1969年・上半期)
- 第60回(1968年・下半期)
- 第59回(1968年・上半期)
- 第58回(1967年・下半期)
- 第57回(1967年・上半期)
- 第56回(1966年・下半期)
- 第55回(1966年・上半期)
- 第54回(1965年・下半期)
- 第53回(1965年・上半期)
- 第52回(1964年・下半期)
- 第51回(1964年・上半期)
- 第50回(1963年・下半期)
- 第49回(1963年・上半期)
- 第48回(1962年・下半期)
- 第47回(1962年・上半期)
- 第46回(1961年・下半期)
- 第45回(1961年・上半期)
- 第44回(1960年・下半期)
- 第43回(1960年・上半期)
- 第42回(1959年・下半期)
- 第41回(1959年・上半期)
- 第40回(1958年・下半期)
- 第39回(1958年・上半期)
- 第38回(1957年・下半期)
- 第37回(1957年・上半期)
- 第36回(1956年・下半期)
- 第35回(1956年・上半期)
- 第34回(1955年・下半期)
- 第33回(1955年・上半期)
- 第32回(1954年・下半期)
- 第31回(1954年・上半期)
- 第30回(1953年・下半期)
- 第29回(1953年・上半期)
- 第28回(1952年・下半期)
- 第27回(1952年・上半期)
- 第26回(1951年・下半期)
- 第25回(1951年・上半期)
- 第24回(1950年・下半期)
- 第23回(1950年・上半期)
- 第22回(1949年・下半期)
- 第21回(1949年・上半期)
- 第21回(1945年・上半期)
- 第20回(1944年・下半期)
- 第19回(1944年・上半期)
- 第18回(1943年・下半期)
- 第17回(1943年・上半期)
- 第16回(1942年・下半期)
- 第15回(1942年・上半期)
- 第14回(1941年・下半期)
- 第13回(1941年・上半期)
- 第12回(1940年・下半期)
- 第11回(1940年・上半期)
- 第10回(1939年・下半期)
- 第9回(1939年・上半期)
- 第8回(1938年・下半期)
- 第7回(1938年・上半期)
- 第6回(1937年・下半期)
- 第5回(1937年・上半期)
- 第4回(1936年・下半期)
- 第3回(1936年・上半期)
- 第2回(1935年・下半期)
- 第1回(1935年・上半期)
- まとめ
第169回(2023年・上半期)
「極楽征夷大将軍」垣根涼介
やる気なし 使命感なし 執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
(文藝春秋より)
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。
「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。
父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顚末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。
(新潮社より)
第168回(2022年・下半期)
「しろがねの葉」千早茜
戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。
(新潮社より)
天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。
しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。
生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!
「地図と拳」小川哲
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。ひとつの都市が現われ、そして消えた。
(集英社より)
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。
第167回(2022年・上半期)
「夜に星を放つ」窪美澄
かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編。
(文藝春秋より)
第166回(2021年・下半期)
「黒牢城」米澤穂信
祝 第166回直木賞受賞!
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。
(KADOKAWAより)
「塞王の楯」今村翔吾
【第166回直木賞受賞作】
どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。
(集英社より)
第165回(2021年・上半期)
「テスカトリポカ」佐藤究
第165回直木賞受賞! 第34回山本周五郎賞受賞!
鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元!
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
(KADOKAWAより)
「星落ちて、なお」澤田瞳子
【第165回直木賞受賞作!】
鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。
父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。
(文藝春秋より)
暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。
河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。
第164回(2020年・下半期)
「心淋し川」西條奈加
【第164回直木賞受賞作】
「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
(集英社より)
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。
第163回(2020年・上半期)
「少年と犬」馳星周
傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。
2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……
犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!
(文藝春秋より)
第162回(2019年・下半期)
「熱源」川越宗一
樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、
(文藝春秋より)
国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。
金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、
読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。
第161回(2019年・上半期)
「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」大島真寿美
江戸時代の大坂・道頓堀。穂積成章は父から近松門左衛門の硯をもらい、浄瑠璃作者・近松半二として歩みだす。だが弟弟子には先を越され、人形遣いからは何度も書き直させられ、それでも書かずにはいられない。物語が生まれる様を圧倒的熱量と義太夫のごとき流麗な語りで描く、直木賞&高校生直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第160回(2018年・下半期)
「宝島」真藤順丈
◆祝!3冠達成★第9回山田風太郎賞&160回直木賞受賞!&第5回沖縄書店大賞受賞!◆
希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、美しい海を、熱を、人間の力を。
【あらすじ】英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。
(講談社より)
第159回(2018年・上半期)
「ファーストラヴ」島本理生
なぜ娘は父親を殺さなければならなかったのか?
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
(文藝春秋より)
第158回(2017年・下半期)
「銀河鉄道の父」門井慶喜
政次郎の長男・賢治は、適当な理由をつけては金の無心をするような困った息子。
政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、賢治のためなら、とつい甘やかしてしまう。
やがて妹の病気を機に、賢治は筆を執るも――。天才・宮沢賢治の生涯を父の視線を通して活写する、究極の親子愛を描いた傑作。<第一五八回直木賞受賞作>
(講談社より)
第157回(2017年・上半期)
「月の満ち欠け」佐藤正午
新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
(岩波書店より)
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。
第156回(2016年・下半期)
「蜜蜂と遠雷」恩田陸
俺はまだ、神に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?
(幻冬舎より)
第155回(2016年・上半期)
「海の見える理髪店」荻原浩
第155回直木賞受賞作
主の腕に惚れた大物俳優や政財界の名士が通いつめた伝説の床屋。ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた僕と店主との特別な時間が始まる「海の見える理髪店」。
(集英社より)
意識を押しつける画家の母から必死に逃れて十六年。理由あって懐かしい町に帰った私と母との思いもよらない再会を描く「いつか来た道」。
仕事ばかりの夫と口うるさい義母に反発。子連れで実家に帰った祥子のもとに、その晩から不思議なメールが届き始める「遠くから来た手紙」。
親の離婚で母の実家に連れられてきた茜は、家出をして海を目指す「空は今日もスカイ」。
父の形見を修理するために足を運んだ時計屋で、忘れていた父との思い出の断片が次々によみがえる「時のない時計」。
数年前に中学生の娘が急逝。悲嘆に暮れる日々を過ごしてきた夫婦が娘に代わり、成人式に替え玉出席しようと奮闘する「成人式」。
人生の可笑しさと切なさが沁みる、大人のための“泣ける”短編集。
第154回(2015年・下半期)
「つまをめとらば」青山文平
女が映し出す男の無様、そして、真価――。
(文藝春秋より)
太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。
身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか――。
時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。
「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」
男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。
第153回(2015年・上半期)
「流」東山彰良
一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾 に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。選考委員満場一致、「二十年に一度の傑作」(選考委員の北方謙三氏)に言わしめた直木賞受賞作。
(講談社より)
第152回(2014年・下半期)
「サラバ!」西加奈子
累計百万部突破!第152回直木賞受賞作
僕はこの世界に左足から登場した――。
(小学館より)
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。
第151回(2014年・上半期)
「破門」黒川博行
第151回直木賞を受賞した、エンタメ小説の最高峰。
映画製作への出資金を持ち逃げされたヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮。失踪したプロデューサーを追い、桑原は本家筋の構成員を病院送りにしてしまう。組同士の込みあいをふたりは切り抜けられるのか
(KADOKAWAより)
第150回(2013年・下半期)
「恋歌」朝井まかて
樋口一葉の師・中島歌子は、知られざる過去を抱えていた。幕末の江戸で商家の娘として育った歌子は、一途な恋を成就させ水戸の藩士に嫁ぐ。しかし、夫は尊王攘夷の急先鋒・天狗党の志士。やがて内乱が勃発すると、歌子ら妻子も逆賊として投獄される。幕末から明治へと駆け抜けた歌人を描く直木賞受賞作。
(講談社より)
「昭和の犬」姫野カオルコ
昭和33年、滋賀県のある町で生まれた柏木イク。嬰児のころより、いろいろな人に預けられていたイクが、両親とはじめて同居をするようになったのは、風呂も便所も蛇口もない家だった――。理不尽なことで割れたように怒鳴り散らす父親、娘が犬に激しく咬まれたことを見て奇妙に笑う母親。それでもイクは、淡々と、生きてゆく。やがて大学に進学するため上京し、よその家の貸間に住むようになったイクは、たくさんの家族の事情を、目の当たりにしていく。
(幻冬舎より)
そして平成19年。49歳、親の介護に東京と滋賀を行ったり来たりするなかで、イクが、しみじみと感じたことは。
第149回(2013年・上半期)
「ホテルローヤル」桜木紫乃
北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。
(集英社より)
第148回(2012年・下半期)
「何者」朝井リョウ
想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。
就活対策のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月、理香らと集まるようになるが――。衝撃のラストが襲いかかる戦後最年少の直木賞受賞作。
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
(新潮社より)
「等伯」安部龍太郎
第148回直木賞受賞!
(日本経済新聞出版より)
都に出て天下一の絵師になる――武家から養家に出された能登の絵仏師・長谷川信春の強い想いが、戦国の世にあって次々と悲劇を呼ぶ。身近な者の死、戦乱の殺戮……それでも真実を見るのが絵師。その焦熱の道はどこへ。
第147回(2012年・上半期)
「鍵のない夢を見る」辻村深月
直木賞受賞! 私たちの心の奥底を静かに覗く傑作集
どこにでもある町に住む、盗癖のあるよそ者の女、婚期を逃した女の焦り、育児に悩む若い母親……彼女たちの疲れた心を待つ落とし穴。
(文藝春秋より)
第146回(2011年・下半期)
「蜩ノ記」葉室麟
豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり…。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説。
(祥伝社より)
第145回(2011年・上半期)
「下町ロケット」池井戸潤
研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた―。男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!第145回直木賞受賞作。
(小学館より)
第144回(2010年・下半期)
「漂砂のうたう」木内昇
明治10年、根津遊郭。御家人の次男坊だった定九郎は、過去を隠し仲見世の「立番」として働いていた。花魁や遊郭に絡む男たち。新時代に取り残された人々の挫折と屈託、夢を描く、第144回直木賞受賞作。
(集英社より)
「月と蟹」道尾秀介
あの夏、海辺の町で少年は大人になる涙を知った
孤独な子ども達が始めた願い事遊びはやがて切実な思いを帯びた儀式めいたものに――深い余韻が残る少年小説の傑作。直木賞受賞。
(文藝春秋より)
第143回(2010年・上半期)
「小さいおうち」中島京子
昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて―。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。
(文藝春秋より)
第142回(2009年・下半期)
「廃墟に乞う」佐々木譲
十三年前に札幌で起きた殺人事件と、同じ手口で風俗嬢が殺害されたーー
(文藝春秋より)
道警の敏腕刑事だった仙道が、犯人から連絡を受けて、故郷である旧炭鉱町へ向かう表題作をはじめ、
北海道の各地を舞台に、任務がもとで心身を耗弱し休職した刑事が、事件に新たな光と闇を見出す連作短編警察小説。
第百四十二回直木賞受賞作
「ほかならぬ人へ」白石一文
「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき、徐々に惹かれていく…。様々な愛のかたちとその本質を描いて第一四二回直木賞を受賞した、もっとも純粋な恋愛小説。
(祥伝社より)
第141回(2009年・上半期)
「鷺と雪」北村薫
帝都に忍び寄る不穏な足音。ルンペン、ブッポウソウ、ドッペルゲンガー…。良家の令嬢・英子の目に、時代はどう映るのか。昭和十一年二月、運命の偶然が導く切なくて劇的な物語の幕切れ「鷺と雪」ほか、明治三十年頃に発生した、松平斉(ひとし)男爵の失踪事件を題材にとった「不在の父」、補導され口をつぐむ良家の少年は夜中の上野で何をしたのかを探る「獅子と地下鉄」の三篇を収録。『街の灯 (本格ミステリ・マスターズ)』『玻璃の天』に続く、花村英子とそのおかかえ運転手・ベッキーさんが主人公のミステリー・シリーズ第三弾。本書所収の3短編は、それぞれ昭和9年から11年にわたる3年の物語。6度目の候補で、第141回直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第140回(2008年・下半期)
「悼む人」天童荒太
聖者なのか、偽善者か?「悼む人」は誰ですか。七年の歳月を費やした著者の最高到達点!善と悪、生と死が交錯する至高の愛の物語。
(文藝春秋より)
「利休にたずねよ」山本兼一
茶人は常に命がけで絶妙の境地を求める―。最後まで己の美学を貫き、天下人・秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられた千利休。心の中にいつも棲んでいたのは、十九のときに、殺した女だった…。利休に艶やかな感性を与えた、その秘めた恋と人生の謎に迫る山本文学の金字塔。第140回直木賞受賞作。浅田次郎氏との対談を特別収録。
(文藝春秋より)
第139回(2008年・上半期)
「切羽へ」井上荒野
かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。奔放な同僚の女教師、島の主のような老婆、無邪気な子供たち。平穏で満ち足りた日々。ある日新任教師として赴任してきた石和の存在が、セイの心を揺さぶる。彼に惹かれていく──夫を愛しているのに。もうその先がない「切羽」へ向かって。直木賞を受賞した繊細で官能的な大人のための恋愛長編。
(新潮社より)
第138回(2007年・下半期)
「私の男」桜庭一樹
落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった十歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から二人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く第138回直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第137回(2007年・上半期)
「吉原手引草」松井今朝子
廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか?失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮やかに描き出した時代ミステリーの傑作。選考委員絶賛の第一三七回直木賞受賞作。
(幻冬舎より)
第136回(2006年・下半期)
該当作品なし
第135回(2006年・上半期)
「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん
三浦しをんの出世作! 第135回直木賞受賞作! まほろシリーズ第一弾!
(文藝春秋より)
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦が転がり込み、二人は様々な依頼に精を出す。ペット預かりに塾の送迎、納屋の整理……ありふれた依頼のはずが、このコンビにかかると何故かきな臭い状況に。
予言する曽根田のばあちゃん、駅裏で夜の仕事をするルルとハイシー、小学生の由良、バスを監視する岡老人……個性的な依頼人たちが登場し、抱腹絶倒かつ心温まるストーリーを展開。そんな中、多田と行天の過去が次第に明らかになり、二人の抱えるものと生き方が、読者の心に突き刺さる!
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第134回(2005年・下半期)
「容疑者Xの献身」東野圭吾
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第133回(2005年・上半期)
「花まんま」朱川湊人
母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。それには、信じられないような理由があった…(表題作)。昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公が体験した不思議な出来事を、ノスタルジックな空気感で情感豊かに描いた全6篇。直木賞受賞の傑作短篇集。
(文藝春秋より)
第132回(2004年・下半期)
「対岸の彼女」角田光代
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第131回(2004年・上半期)
「空中ブランコ」奥田英朗
伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。
(文藝春秋より)
「邂逅の森」熊谷達也
秋田の貧農の家に生まれた冨治。マタギとなり獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。直木賞の感動巨篇!
(文藝春秋より)
第130回(2003年・下半期)
「号泣する準備はできていた」江國香織
私はたぶん泣きだすべきだったのだ。身も心もみちたりていた恋が終わり、淋しさのあまりねじ切れてしまいそうだったのだから――。濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思い出を綴った「じゃこじゃこのビスケット」など全12篇。号泣するほどの悲しみが不意におとずれても、きっと大丈夫、切り抜けられる……。そう囁いてくれる直木賞受賞短篇集。
(新潮社より)
「後巷説百物語」京極夏彦
直木賞受賞作がついに文庫で登場
文明開化の音がする明治十年。一等巡査の矢作らは、ある伝説の真偽を確かめるべく隠居老人・一白翁を訪ねた。翁は静かに、今は亡き者どもの話を語り始める。第130回直木賞受賞作。妖怪時代小説の金字塔!
(講談社より)
第129回(2003年・上半期)
「4TEEN」石田衣良
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない―。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。
(新潮社より)
「星々の舟」村山由佳
禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末娘、居場所を探す団塊の兄、そして父は戦争の傷を抱いて……心震える家族の物語
(文藝春秋より)
第128回(2002年・下半期)
該当作品なし
第127回(2002年・上半期)
「生きる」乙川優三郎
亡き藩主への忠誠を示す「追腹」を禁じられ、生き続けざるを得ない初老の武士・又右衛門。周囲の冷たい視線、嫁いだ娘からの義絶、そして息子の決意の行動ーー。惑乱と懊悩の果て、失意の底から立ち上がる人間の強さを格調高く描いて感動を呼んだ「生きる」
(文藝春秋より)
生涯でもっとも幸せだった親子で川岸で過ごした記憶。どんな境遇にあっても人としての誇りを忘れなかった、深川の女の遺志を受け継いだ童女の言葉にかつての無頼青年・織之助が感じた衝撃。涙を禁じえない「安穏河原」
隠居暮らしの喜蔵が、若い頃出世のために捨てた女が果たして幸せでいるか案じ、再会する「早梅記」。」
人が「生きる」ことの意味を問いかける珠玉の中篇集。
第127回直木賞受賞作。
第126回(2001年・下半期)
「あかね空」山本一力
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を、親子二代にわたって描いた第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。
(文藝春秋より)
「肩ごしの恋人」唯川恵
欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは―。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた直木賞受賞作。
(集英社より)
第125回(2001年・上半期)
「愛の領分」藤田宜永
仕立屋の淳蔵は、かつての親友高瀬に招かれ、追われるように去った信州の故郷を35年ぶりに訪れる。高瀬の妻の美保子は昔、淳蔵が恋焦がれた相手だが、年月が彼女を変貌させていた。佳世と出会った淳蔵は年齢差を超えて惹かれるが、過去の事実が二人の恋情をより秘密めいたものにしていくのだった。直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第124回(2000年・下半期)
「プラナリア」山本文緒
どうして私はこんなにひねくれているんだろう―。乳がんの手術以来、何もかも面倒くさく「社会復帰」に興味が持てない25歳の春香。恋人の神経を逆撫でし、親に八つ当たりをし、バイトを無断欠勤する自分に疲れ果てるが、出口は見えない。現代の“無職”をめぐる心模様を描いて共感を呼んだベストセラー短編集。直木賞受賞作品。
(文藝春秋より)
「ビタミンF」重松清
このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。「家族小説」の最高峰。直木賞受賞作!
38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。「また、がんばってみるか——」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。直木賞受賞作。
(新潮社より)
第123回(2000年・上半期)
「虹の谷の五月」船戸与一
旧ソ連崩壊後の第三世界。混迷の度合いを深める東南アジア。あらゆる価値観の見直しを求められる21世紀の冒険小説の指標を、少年の成長物語に託して巨匠がおくる冒険小説巨編、1300枚! 第123回直木賞受賞作。
(集英社より)
「GO」金城一紀
ある日僕は恋に落ちた。彼女は可愛らしい“日本人”だった。直第123回直木賞受賞の感動青春恋愛小説。ディレクターズ・カット新装完全版。
(KADOKAWAより)
第122回(1999年・下半期)
「長崎ぶらぶら節」なかにし礼
長崎・丸山遊里の芸者愛八が初めて本当の恋をしたのは、長崎学の確立を目指す研究者・古賀十二郎だった。「な、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探して歩かんね」。古賀の破産を契機に長崎の古い歌を求めて苦難の道を歩み始める二人と、忘れられた名曲「長崎ぶらぶら節」との出会い。そして、父親のいない貧しい少女・お雪をはじめ人々に捧げた愛八の無償の愛を描いた、第122回直木賞受賞作。
(新潮社より)
第121回(1999回・上半期)
「王妃の離婚」佐藤賢一
1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上がる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法廷サスペンス。第121回直木賞受賞の傑作西洋歴史小説。
(集英社より)
「柔らかな頬」桐野夏生
「現代の神隠し」と言われた謎の別荘地幼児失踪事件。姦通。誰にも言えない罪が初めにあった。娘の失踪は母親への罰なのか。四年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。三十四歳、余命半年。死ぬまでに、男の想像力は真実に到達できるか。
(講談社より)
第120回(1998年・下半期)
「理由」宮部みゆき
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか――。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
(新潮社より)
第119回(1998年・上半期)
「赤目四十八瀧心中未遂」車谷長吉
「私」はアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」―。圧倒的な小説作りの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。
(文藝春秋より)
第118回(1997年・下半期)
該当作品なし
第117回(1997年・上半期)
「女たちのジハード」篠田節子
中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。直木賞受賞作品。
(集英社より)
「鉄道員(ぽっぽや)」浅田次郎
娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた…。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収録。日本中、150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラー作品集にあらたな「あとがき」を加えた。第117回直木賞を受賞。
(集英社より)
第116回(1996年・下半期)
「山妣」坂東眞砂子
明治末期、東京からやって来た旅芸人が静かな越後の山村に嵐を巻き起こした。その男の肉体に隠された秘密、そして地主の若夫婦との間に芽生えた密やかな三角関係が、伝説の中から山妣の姿を浮かび上がらせる。明らかになっていく山妣の凄絶な過去。そして熊狩りの日、山神の叫ぶ声が響き、白雪を朱に染める惨劇の幕が開いた―。雪国の自然と習俗を背景に、情念と伝説が織りなす愛憎劇を濃密に描きホラー・伝奇小説の枠を破った比類なき千二百枚。
(新潮社より)
第115回(1996年・上半期)
「凍える牙」乃南アサ
深夜のファミリーレストランで突如、人間が炎上した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された男が発見される。二つの異常な事件の裏に隠されたひそかな繋がりとは?ヒロインの孤独な闘いが読者の圧倒的共感を集めたサスペンス小説の金字塔。直木賞受賞作、待望の新装版。
(新潮社より)
第114回(1995年・下半期)
「恋」小池真理子
1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした……。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。
(新潮社より)
「テロリストのパラソル」藤原伊織
アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し20年以上もひっそりと暮らしてきたが、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れた。知らぬ間に巻き込まれ犯人を捜すことになった男が見た事実とは……。史上初の乱歩賞&直木賞W受賞作。
(講談社より)
第113回(1995年・上半期)
「白球残映」赤瀬川隼
四国の球場で目撃したのは突如、球界を去った名投手。元記者は謎を追って……。野球と女性への限りない憧憬を描く直木賞受賞作
(文藝春秋より)
第112回(1994年・下半期)
該当作品なし
第111回(1994年・上半期)
「二つの山河」中村彰彦
かれらも祖国のために戦ったのだから―。
(文藝春秋より)
大正初め、第一次大戦でドイツに宣戦布告した日本は、中国大陸で多数のドイツ人を俘虜とし、日本に送った。多くの収容所は過密で環境は劣悪だった。そんな中、徳島の板東収容所では例のない寛容な処遇がなされた。ドイツ人俘虜によるオーケストラを結成。日本人将兵・市民とドイツ人俘虜との交歓を実現した。板東収容所の所長、真のサムライと讃えられた会津人・松江豊寿。なぜ彼は陸軍の上層部に逆らっても信念を貫いたのか。そこには、国のために戦ったにもかかわらず明治にあって辛苦をなめた会津出身者としての思いがあった。国境を越える友愛を描いた直木賞受賞作。。
二ほかに戊辰戦争での結城藩の戦いを描く「臥牛城の虜」、会津による薩摩邸焼き討ちの逸話「甘利源治の潜入」を収録。
「帰郷」海老沢泰久
故郷の町の自動車エンジン工場からF1チームのエンジン組み立てメンバーに選ばれた男の日常は輝かしい栄光の日々の連続だった。そして3年間の出向が終わって故郷に戻った男を待っていたのは味気ない、退屈な生活だった―喜びのあとに訪れる悲しさ、“成熟と喪失”を描いた第111回直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
第110回(1993年・下半期)
「恵比寿屋喜兵衛手控え」佐藤雅美
争いごとは世の常、人の常。江戸の世でその争いの相談を受けるのが恵比寿屋のような公事宿だ。
(講談社より)
今日も、恵比寿屋に自分の兄が見知らぬ男に金を返せと訴えられていると、若い男が相談に来た。
その訴えを聞いた、主の喜兵衛は怪しいにおいを感じとる。事件の真相は如何に?
江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。第110回直木賞受賞作。
「新宿鮫 無間人形」大沢在昌
手軽でお洒落。若者たちの間で流行っている薬「アイスキャンディ」の正体は覚せい剤だった。密売ルートを追う鮫島は、藤野組の角を炙り出す。さらに麻薬取締官の塔下から、地方財閥・香川家の関わりを知らされる。薬の独占を狙う角、香川昇・進兄弟の野望…。薬の利権を巡る争いは、鮫島の恋人・晶まで巻き込んだ。鮫島は晶を救えるか!?直木賞受賞の感動巨編!長編刑事小説。
(光文社より)
第109回(1993年・上半期)
「マークスの山」高村薫
「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」―精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。
(講談社より)
「恋忘れ草」北原亞以子
新進気鋭の女流絵師・歌川芳花ことおいちは、出世作『竹林七美人図』で彫師をつとめた才次郎と恋におちる。一途に才次郎を求めるおいちだが、才次郎には女房と子供が待つ家があった…。表題作ほか、江戸の町で恋と仕事に生きた“キャリアウーマン”たちの哀歓を描いて直木賞に輝いた珠玉の連作集。
(文藝春秋より)
第108回(1992年・下半期)
「佃島ふたり書房」出久根達郎
佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った―大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ二人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。第108回直木賞受賞作品。
(講談社より)
第107回(1992年・上半期)
「受け月」伊集院静
永年率いた社会人野球の名門チームからの引退を、自ら育てた後輩に告げられた老監督、亡くなった夫の好きだった野球を始めた息子がベンチで試合を見つめる姿に複雑な思いを抱く若い母親、母と自分を捨てて家を出た父親との再会を躊躇う男…。誰にも訪れる切ない瞬間によぎる思いを描いた、直木賞受賞作。
(講談社より)
第106回(1991年・下半期)
「狼奉行」高橋義夫
出羽の雪深き山里に赴任した青年は深い失意の日々を送るが、策略をかわし苦難に耐え、逞しい武士に変貌を遂げていく。感動と共感の直木賞作品。
(文藝春秋より)
「緋い記憶」高橋克彦
思い出の家が見つからない。同窓会のため久しぶりに郷里を訪ねた主人公の隠された過去とは……。表題作等、もつれた記憶の糸が紡ぎ出す幻想の世界、七篇。直木賞受賞作!
(文藝春秋より)
第105回(1991年・上半期)
「夏姫春秋」宮城谷昌光
中原の小国鄭は、超大国晋と楚の間で、絶えず翻弄されていた。鄭宮室の絶世の美少女夏姫は、兄の妖艶な恋人であったが、孤立を恐れた鄭公によって、陳の公族に嫁がされた。「力」が全てを制した争乱の世、妖しい美女夏姫を渇望した男たちは次々と…。壮大なスケールの中国歴史ロマン、直木賞受賞作。
(講談社より)
「青春デンデケデケデケ」芦原すなお
1965年の春休み、ラジオから流れるベンチャーズのギターがぼくを変えた。“やーっぱりロックでなけらいかん”―。四国の田舎町の高校生たちがくりひろげる抱腹絶倒、元気印の、ロックと友情と恋の物語。青春バンド小説決定版。直木賞、文芸賞受賞作。
(河出書房新社より)
第104回(1990年・下半期)
「漂泊者のアリア」古川薫
第103回(1990年・上半期)
「蔭桔梗」泡坂妻夫
第102回(1989年・下半期)
「私が殺した少女」原尞
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る…緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。
(早川書房より)
「小伝抄」星川清司
第101回(1989年・上半期)
「高円寺純情商店街」ねじめ正一
高円寺北口にある商店街の「純情商店街」への名称変更は、この小説がきっかけ!
かつてあった「昭和」の時代の風景が甦る、心温まる連作短編集。高円寺駅北口「純情商店街」。魚屋や呉服屋、金物店などが軒を並べる賑やかな通りである。正一少年は商店街の中でも「削りがつをと言えば江州屋」と評判をとる乾物屋の一人息子だった――。
(新潮社より)
感受性豊かな一人の少年の瞳に映った父や母、商店街に暮らす人々のあり様を丹念に描き「かつてあったかもしれない東京」の佇まいを浮かび上がらせたハートウォーミングな物語。
直木賞受賞作。
「遠い国からの殺人者」笹倉明
第100回(1988年・下半期)
「熟れてゆく夏」藤堂志津子
ホテルで女主人の到着を待つ若い男女。その背後に潜むエゴイズム、孤独感を澄明な文体で彫琢、愛と性のかかわりをさぐり直木賞に輝く優品。「鳥、とんだ」「三月の兎」を併録。(植田康夫)
(文藝春秋より)
「東京新大橋雨中図」杉本章子
第99回(1988年・上半期)
「凍れる瞳」「端島の女」西木正明
「遠い海から来たCOO」景山民夫
小畑洋介、12歳。海洋生物学者の父、徹郎とフィジー諸島のパゴパゴ島に移り住んで3年になる。洋助はある朝、通学の途中、珊瑚礁の潮だまりにひとつの生命を発見した。“奇跡”との出会いだった。それは6000万年以上も昔に死に絶えたはずのプレシオザウルスの生まれたばかりの姿だったのである。しなやかな肢体と愛らしい黒い瞳を持ったその奇跡の生命は、洋助を見つめ、「COO」と歓喜の産声をあげた。こうして少年と幼い恐竜クーとのきらめく至福の日々がはじまった。だが平和は長くは続かなかった。第99回直木賞にかがやく、感動の冒険ファンタジー、待望の文庫化。
(KADOKAWAより)
第98回(1987年・下半期)
「それぞれの終楽章」阿部牧郎
第97回(1987年・上半期)
「海狼伝」白石一郎
戦国時代終盤、対馬。海と船へのあこがれを抱いて育った少年・笛太郎は航海中に村上水軍の海賊衆に捕えられ、以後は水軍と行動をともにするようになる。そしていつしか笛太郎は比類なき「海の狼」へ成長していった―。海に生きる男たちの夢とロマンを描いた海洋冒険時代小説の最高傑作。第97回直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
「ソウル・ミュージックラバーズ・オンリー」山田詠美
初恋も、喧嘩別れも、死に別れも、そして旅立ちの日も、暖かく心に蘇らせるソウル・ミュージックが響く連作恋愛小説。大センセーションを巻き起こした直木賞受賞作にして、著者の代表作。
(幻冬舎より)
第96回(1986年・下半期)
「遠いアメリカ」常盤新平
夢のアメリカに恋い焦がれた若者の青春小説
戦後10年目の1955年、日本人はまだ貧しい生活を送りながら、大国アメリカの豊かな物質文化や娯楽産業に憧れをいだいていた。
クリーネックス・ティシューや雑誌「ヴォーグ」、そしてハリウッド映画。そんな時代に、20代半ばの青年・重吉と演劇に没頭している椙枝は二人で愛をはぐくんでいた。一向に見えない自分たちの将来に悪戦苦闘しながらも愛と希望だけを頼りに生きる、往時の若者たちが瑞々しく描かれる。
(小学館より)
「カディスの赤い星」逢坂剛
フリーのPRマン・漆田亮は、得意先の日野楽器から、ある男を探してくれと頼まれる。男の名はサントス、二十年前スペインの有名なギター製作家ホセ・ラモスを訪ねた日本人ギタリストだという。サントス探しに奔走する漆田は、やがて大きな事件に巻き込まれてゆく。直木賞を受賞した、著者の代表傑作長編。第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回冒険小説協会大賞受賞作。
(講談社より)
第95回(1986年・上半期)
「恋紅」皆川博子
第94回(1985年・下半期)
「魚河岸ものがたり」森田誠吾
「最終便に間に合えば」「京都まで」林真理子
第93回(1985年・上半期)
「演歌の虫」「老梅」山口洋子
第92回(1984年・下半期)
該当作品なし
第91回(1984年・上半期)
「恋文」連城三紀彦
マニキュアで描いた花吹雪を窓ガラスに残し、部屋を出ていった歳下の夫。それをきっかけに、しっかり者の妻に、初めて心を許せる女友達が出来たが(「恋文」)。二十一の若さで死んだ、姉の娘。幼い子供を抱いた五枚の写真に遺された、姪から叔父へのメッセージとは(「私の叔父さん」)。都会の片隅に暮す、大人の男女の様々な“愛のかたち”を描く五篇。直木賞受賞。
(新潮社より)
「てんのじ村」難波利三
第90回(1983年・下半期)
「私生活」神吉拓郎
都会人の日常生活の裏側を描いた名作短編集
自らを「瑣事観察者」と称する神吉拓郎が、都会の日常生活の裏側――〈私生活〉に潜むちょっとしたドラマを、歯切れのいい文章で活写した短編集。
(小学館より)
ある真面目な銀行マンが、夜には別の一面を垣間見せる「つぎの急行」、平凡なサラリーマンが、会社のカネの横領を企む「警戒水位」、ダッチワイフに入れあげる初老の男に訪れた悲劇を描く「小夜子」、真面目だと思っていた家政婦が衝撃的な素顔を見せる「もう一人の女」など、17のエピソードを収録。
一つひとつの作品は短いが、それぞれに違った余韻をもたらす名作で、第90回直木賞に輝いた。
「秘伝」高橋治
巨魚に挑む男たちを描いた直木賞受賞の大ロマン。長崎県西彼杵半島の西海岸を舞台に、二人の釣り名人と怪魚イシナギの死闘劇の幕は切って落とされた。まるで潜水艦のような黒い影が潜む海中に、特殊な工夫を施した必殺の仕掛けが送り込まれていった…。他に中編「赤い海」を収録。
(講談社より)
第89回(1983年・上半期)
「黒パン俘虜記」胡桃沢耕史
第88回(1982年・下半期)
該当作品なし
第87回(1982年・上半期)
「炎熱商人」深田祐介
太平洋戦争の傷跡を色濃く残す炎熱地マニラを舞台に、国際ビジネス最前線で働く商社マンたちの誇りと情熱、愛と死、そして直面する現実を、壮大なスケールで描いた直木賞受賞作。
(文藝春秋より)
「時代屋の女房」村松友視
銀色の日傘をくるくる回しながら子猫のアブサンと夏の盛りにふらっとやってきた真弓が、「時代屋」の女房として居着いたのは5年前のことだった。東京は大井町の一隅にある骨董屋を舞台に、男女の淡く切ない恋情と、市井の人々との心温まる日常を味わい深く描いて第87回直木賞を受賞した「時代屋の女房」。後に映画化もされ話題を呼んだ秀作と、追われた男と不思議な二人の老人、匿われていた女の“仮名の男女”が演じ合う夢幻劇のようなひと夏の出来事を描いた「泪橋」、著者による新たなあとがきも併せて収録。
(小学館より)
第86回(1981年・下半期)
「蒲田行進曲」つかこうへい
「機雷」光岡明
第85回(1981年・上半期)
「人間万事塞翁が丙午」青島幸男
呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋“弁菊”。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出遭いながらも、持前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。―戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。直木賞受賞。
(新潮社より)
第84回(1980年・下半期)
「元首の謀叛」中村正軌
第83回(1980年・上半期)
「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」向田邦子
「黄色い牙」志茂田景樹
第82回(1979年・下半期)
該当作品なし
第81回(1979年・上半期)
「ナポレオン狂」阿刀田高
自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。その両者を引き合わせた結果とは?ダール、スレッサーに匹敵する短篇小説の名手が、卓抜の切れ味を発揮した直木賞受賞の傑作集。第32回日本推理作家協会賞受賞の「来訪者」も収録する。
(講談社より)
「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」田中小実昌
第80回(1978年・下半期)
「一絃の琴」宮尾登美子
土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える…。直木賞受賞作。
(講談社より)
「大浪花諸人往来」有明夏夫
文明開化期の大阪の町を舞台とした異色捕物小説。36話からなる浪花の源蔵召捕記事の全編を全5巻に収録。
(捕物出版より)
本巻では第80回(昭和53年下半期)直木賞受賞作品の「大浪花諸人往来」(角川書店)所収の、西郷はんの写真、天神祭の夜、尻無川の黄金騒動、大浪花別嬪番付、鯛を捜せ、人間の皮を剝ぐ男の6編を収録。
多くの捕物小説が江戸時代の江戸を舞台とする中で、明治初年の文明開化期、しかも大阪の町を舞台としたという極めてユニークな設定の捕物小説であるとともに、大阪人の心意気や、文明開化に伴う急激な世相の変化に翻弄される庶民の心情がユーモラスに描かれた傑作。
第79回(1978年・上半期)
「離婚」色川武大
「ことさら深刻ぶるのはよそうぜ」などとカッコいいせりふを吐いてぼくたち二人はおたがい納得して「離婚」したのです。ところがどこでどうなったのでしょうか、ぼくはいつのまにか、もと女房のアパートに住みついてしまって…。男と女のふしぎな愛と倦怠の形を、味わい深い独特の筆致で描き出す直木賞受賞作品。
(文藝春秋より)
「深重の海」津本陽
滅びゆく古式捕鯨の悲劇を描く
(集英社より)
明治11年、捕鯨史上の大遭難となった熊野沖の“背美流れ”。それは長年栄えた古式捕鯨衰退の始まりでもあった。時代に置き去りにされるものたちの叫びと愛を描く傑作長編。直木賞受賞作。
第78回(1977年・下半期)
該当作品なし
第77回(1977年・上半期)
該当作品なし
第76回(1976年・下半期)
「子育てごっこ」三好京三
東北の寒村で小学校教師をしている夫妻が、ひょんなことから学校に通ったことのない少女・吏華を預かることになった。吏華は5歳のころより老画家に連れられて、住まいを転々としていたのだ。厳格な“男先生”と社会常識のかけらも身につけていない吏華、その間に立って右往左往する“女先生”の波乱の日々が始まる―。子育てとは、教育とは何かを問う問題作で、1975年に第41回文學界新人賞、1976年に第76回直木賞を受賞。1979年には映画化され大きな反響を呼んだ。より事実をなぞっているといわれる姉妹作「親もどき“小説・きだみのる”」を同時収録。
(小学館より)
第75回(1976年・上半期)
該当作品なし
第74回(1975年・下半期)
「復讐するは我にあり」佐木隆三
列島を縦断しながら殺人や詐欺を重ね、高度成長に沸く日本を震撼させた稀代の知能犯・榎津巌。捜査陣を翻弄した78日間の逃避行は10歳の少女が正体を見破り終結、逮捕された榎津は死刑に―。綿密な取材と斬新な切り口で直木賞を受賞したノンフィクション・ノベルの金字塔を三十数年ぶりに全面改訂した決定版。
(文藝春秋より)
第73回(1975年・上半期)
該当作品なし
第72回(1974年・下半期)
「雨やどり」半村良
舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など八篇を収録。
(集英社より)
「アトラス伝説」井出孫六
第71回(1974年・上半期)
「鬼の詩」藤本義一
二〇一二年に惜しまれて亡くなった稀才の代表的傑作集。鬼気迫る落語家の魂を描いて直木賞受賞の「鬼の詩」、師に“追随”する漫才師を描く「贋芸人抄」、三味線の天才娘の悲劇「下座地獄」、運命の師、映画監督川島雄三との決定的な体験を描いた「生きいそぎの記」と講演。その後の作家の姿がここにある。
(河出書房新社より)
第70回(1973年・下半期)
該当作品なし
第69回(1973年・上半期)
「暗殺の年輪」藤沢周平
武家の非情な掟の世界を端正な文体で描き、直木賞を受賞した表題作。ほか処女作「溟(くら)い海」など4篇を収録した記念碑的作品集
(文藝春秋より)
「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」長部日出雄
第68回(1972年・下半期)
該当作品なし
第67回(1972年・上半期)
「手鎖心中」井上ひさし
材木問屋の若旦那、栄次郎は、絵草紙の人気作家を志すあまり、馬鹿馬鹿しい騒ぎを起こして……歌舞伎にもなった直木賞受賞の傑作
(文藝春秋より)
「斬」綱淵謙錠
第66回(1971年・下半期)
該当作品なし
第65回(1971年・上半期)
該当作品なし
第64回(1970年・下半期)
「長良川」豊田穣
誇り高きひとにとって辛く無残なるは、己れの真情を、己れの過去の秘めごととともに他に吐露することであるという。海軍中尉豊田穣は、過ぐる大戦において乗機被弾、不時着、漂流の果てに虜囚となり、失意と絶望の渕を流浪しつつ作家豊田穣と変身するに際し、その長い苦渋の海を渡った―。本書はその魂の絶唱。
(光人社より)
第63回(1970年・上半期)
「軍旗はためく下に」結城昌治
敵前逃亡・奔敵、従軍免脱、司令官逃避、敵前党与逃亡、上官殺害。陸軍刑法上、死刑と定められた罪で戦地で裁かれ処刑された兵士たち。敗戦後二十余年を経て非情の真相が語られる。戦争の理不尽を描いた直木賞受賞作に著者の自作再読エッセイを収録した増補版。
(中央公論新社より)
「光と影」渡辺淳一
戦場で負傷した腕を、一人は切断され、一人は不自由のまま残された士官二人の運命の皮肉を描く直木賞受賞作ほか三篇の初期傑作
(文藝春秋より)
第62回(1969年・下半期)
該当作品なし
第61回(1969年・上半期)
「戦いすんで日が暮れて』佐藤愛子
ボンクラ亭主が拵えた山のような借金。妻はそれを肩代わりして、憤りに燃えながらも休む間もなく奮闘する。瑞々しくユーモアとペーソスに溢れる、直木賞受賞作。表題作のほか、「ひとりぽっちの女史」「ああ男!」「田所女史の悲恋」など全八篇を収録。あらゆる世代を魅了する著者の代表作、待望の新装版化。
(講談社より)
第60回(1968年・下半期)
「青玉獅子香炉」陳舜臣
「僑人の檻」早乙女貢
第59回(1968年・上半期)
該当作品なし
第58回(1967年・下半期)
「アメリカひじき」「火垂るの墓」野坂昭如
昭和20年9月21日、神戸・三宮駅構内で浮浪児の清太が死んだ。虱だらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。その缶を駅員が暗がりに投げると、栄養失調で死んだ四歳の妹、節子の白い骨がころげ、蛍があわただしくとびかった―浮浪児兄妹の餓死までを独自の文体で印象深く描いた『火垂るの墓』、そして『アメリカひじき』の直木賞受賞の二作をはじめ、著者の作家的原点を示す6編。
(新潮社より)
「聖少女」三好徹
第57回(1967年・上半期)
「追いつめる」生島治郎
神戸を拠点とし、日本全国に傘下の組をもつ巨大広域暴力団・浜内組。兵庫県警の部長刑事志田司郎は、浜内組潰滅を図る県警本部長の特命を受けていた。折りしも義父で海運会社の重役を務める来水信介と浜内組とのトラブルを機に、組幹部を追跡するが、同僚の刑事を誤射してしまったのだ!職を辞し、妻子とも別れて孤狼と化した志田は、巨大組織を執拗に追いつめてゆく…。直木賞を受賞した不朽の名作。
(徳間書店より)
第56回(1966年・下半期)
「蒼ざめた馬を見よ」五木寛之
ソ連の老作家が書いた痛烈な体制批判の小説。その入手を命じられた元新聞記者・鷹野は、本人に会い原稿を運び出すことに成功する。出版された作品は、全世界でベストセラーとなり、ソ連は窮地に立った。ところが、その裏には驚くべき陰謀が…。直木賞受賞の表題作など全5篇を収めた、初期の代表的傑作集。
(文藝春秋より)
第55回(1966年・上半期)
「白い罌粟」立原正秋
直木賞受賞作含む、立原正秋の代表的短編集
日本と朝鮮の血を引く家系に生まれた兄弟が、戦争という得体の知れないものに翻弄されながらも、自分たちの存在を確かめようと、”血”とは何かを追求した「剣ケ崎」。
(小学館より)
金貸業者を踏み倒す事を仕事にしている奇妙な男にひかれて、その不可解な魅力と付き合っているうちに、自らも破滅してゆく中年の教師を描いた「白い罌粟」。
没落寸前の旧家・壬生家。その終焉を闇夜に輝く篝火に象徴させ、従弟との愛を”死”で締め括った人妻を描いた「薪能」。
義弟との束の間の愛に燃えた若妻を描く「流鏑馬」、麻薬窟に出入りし、女と薬に溺れる男を描く「薔薇屋敷」。
直木賞受賞作、芥川賞候補作など立原正秋の代表短編5編を納めている。
第54回(1965年・下半期)
「八百長」新橋遊吉
「虜愁記」千葉治平
第53回(1965年・上半期)
「虹」藤井重夫
第52回(1964年・下半期)
「炎環」永井路子
激しく、あるときは陰湿に。
(文藝春秋より)
源頼朝の挙兵、鎌倉幕府の成立――台頭する武士たちはどう生きたのか。
直木賞受賞作の傑作歴史小説
「張少子の話」安西篤子
第51回(1964年・上半期)
該当作品なし
第50回(1963年・下半期)
「巷談本牧亭」安藤鶴夫
有名な講談席「本牧亭」を舞台に、芸人たちや周辺の人びとの悲喜こもごもを鮮やかな筆致で描いた安藤鶴夫の代表作で、昭和38年度直木賞作。生誕100年を記念して、貴重な名作復活!
(河出書房新社より)
「塵の中」和田芳恵
第49回(1963年・上半期)
「女のいくさ」佐藤得二
第48回(1962年・下半期)
「江分利満氏の優雅な生活」山口瞳
“昭和サラリーマン”を描いた名作が甦る!
昭和30年代――ときは正に高度成長期! まだまだ貧しいけれど日々豊かになっていくサラリーマンの悲喜こもごもを描いた山口瞳の出世作『江分利満氏の優雅な生活』、『江分利満氏の華麗な生活』。
本作は作品中にも「庄助」として度々登場する長男・山口正介氏が、その2冊から江分利満氏のベストセレクションを再編した。『江分利満氏の優雅な生活』は第48回直木賞を受賞。巻末には、長男・正介氏の解説も特別収録。
(小学館より)
「孤愁の岸」杉本苑子
財政難に喘ぐ薩摩藩に突如濃尾三川治水の幕命が下る。露骨な外様潰しの策謀と知りつつ、平田靭負ら薩摩藩士は遥か濃尾の地に赴いた。利に走る商人、自村のエゴに狂奔する百姓、腐敗しきった公儀役人らを相手に、お手伝い方の勝算なき戦いが始まった……。史上名高い宝暦大治水をグローバルに描く傑作長編。
(講談社より)
第47回(1962年・上半期)
「天才と狂人の間」杉森久英
第46回(1961年・下半期)
「螢の河」伊藤桂一
兵士の日常を丹念に描き、温かく深い感動を伝える戦記文学の傑作短篇/第46回直木賞受賞作品。
(潮書房光人新社 より)
第45回(1961年・上半期)
「雁の寺」水上勉
少年僧の孤独と凄惨な情念のたぎりを描いて、直木賞に輝く「雁の寺」、哀しみを全身に秘めた独特の女性像をうちたてた「越前竹人形」。
(新潮社より)
第44回(1960年・下半期)
「はぐれ念仏」寺内大吉
念仏宗の内部にてくりひろげられる俗臭ふんぷんたる選挙戦の人間模様をコミカルかつ軽快な筆致で描き、第44回直木賞を受賞した表題作ほか、仏教テーマの哀感を誘う3編を収録。刊行後40年以上を経て、待望の初文庫化!
(学習研究社より)
「背徳のメス」黒岩重吾
産婦人科医・植秀人は、腕は確かだが無頼な男。当直の夜、何者かが巧妙に自分を殺そうとしていたことに気づき戦慄する。病院関係者の仕業か。産婦人科での医療ミスが原因の脅迫事件と関連があるのか。犯人を捜す植を、院内での愛憎入り混じった複雑な人間関係が包囲する。苛酷な医療現場を舞台に人間の生々しいエゴイズムを極限まで描き切り、直木賞に輝いた医療ミステリーの傑作。
(新潮社より)
第43回(1960年・上半期)
「錯乱」池波正太郎
信州松代十万石の藩士堀平五郎は、武骨だが諸事円満な性情で、将棋の駒づくりを唯一の趣味にする、妻女久仁との間には息子がひとりという平凡な人好きのする人物であった。藩祖真田信之にも好かれていたが、一大事が出来した。現藩主の信政が卒倒し、城下は騒然となった。卒倒三日後、信政は没した。死の床にあって信政を悩ましたのは、暴君型の甥、分家の信利の存在であった。はたして愛児への家督は無事に許されるのか…。堀平五郎の目は異様な鋭い光を放っていた。(「錯乱」)―第四十三回直木賞受賞作「錯乱」の他、百姓娘に欲情した信州上田藩士を描く「碁盤の首」、松代藩内抗争事件を描く「刺客」、夜ごと男女交合秘図描きに没頭する火付盗賊改めを描く「秘図」、そして薩摩藩の暴れ者中村半次郎を描く「賊将」の四編を収めた傑作短編集。
(春陽堂書店より)
第42回(1959年・下半期)
「梟の城」司馬遼太郎
司馬遼太郎伝説は、ここから始まった! 直木賞受賞作。
信長、秀吉……権力者たちの陰で、凄絶な死闘を展開する二人の忍者の生きざまを通して、かげろうの如き彼らの実像を活写した長編。織田信長によって父母と妹、そして一族を惨殺された怨念と、忍者としての生きがいをかけて豊臣秀吉暗殺をねらう伊賀者、葛籠重蔵。相弟子で、忍びの道を捨て仕官をし、伊賀を売って、重蔵を捕えることに出世の方途を求める風間五平。
(新潮社より)
戦国末期の権力争いを背景に、二人の伊賀者の対照的な生きざまを通して、かげろうのごとき忍者の実像を活写し、歴史小説に新しい時代を画した直木賞受賞作品。
「團十郎切腹事件」他 戸板康二
第41回(1959年・上半期)
「鏨師」平岩弓枝
無銘の刀に名匠の偽銘を切る鏨師とそれを見破る鑑定家の対決を描く直木賞受賞作「鏨師」のほか、芸の世界に材を得た初期短篇集
(文藝春秋より)
「馬淵川」渡辺喜恵子
第40回(1958年・下半期)
「総会屋錦城」城山三郎
城山三郎が切り拓いた、経済小説というジャンル。
その城山文学の原点にして、経済小説の魁。珠玉の七短編を収録。直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見舞いや弔問にゆく五十男の悲しみを描いた「事故専務」をはじめ、資本主義社会のからくり、陰謀などを、入念な考証に基づき、迫力あるスピード感と構成力で描く本格的な社会小説7編を収める。
(新潮社より)
「落ちる」「ある脅迫」「笑う男」多岐川恭
江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞した昭和の名手、深い抒情性とミステリのたくらみに満ちた単行本未収録作品を含む14篇。文庫オリジナル編集。
(筑摩書房より)
第39回(1958年・上半期)
「花のれん」山崎豊子
大阪の街中へわての花のれんを幾つも幾つも仕掛けたいのや――細腕一本でみごとな寄席を作りあげた浪花女のど根性の生涯を描く。
(新潮社より)
「赤い雪」榛葉英治
第38回(1957年・下半期)
該当作品なし
第37回(1957年・上半期)
「ルソンの谷間」江崎誠致
兵士が書きつづった、けだかく、うつくしく、心あらわれる日本語の魅力。フィリピンの戦場で無数の戦友の死体を目撃した著者は、ふたたび生命をもつことのない死体が、今なお「私の中に生きている事実を、書きしるしておきたかった」と述懐し「打ち棄てられた死体にも、死者の生涯はある」と死者への万感の思いを一本の筆に託する感動のロングセラー。直木賞受賞作。
(潮書房光人新社より)
第36回(1956年・下半期)
「お吟さま」今東光
千利休の娘・お吟の胸には、堺の豪商・万代屋(もずや)宗安に嫁いだ後も、初恋のキリシタン大名・高山右近の俤(おもかげ)がひそかに生きつづけていた。やがて離婚したお吟の美貌は、最高権力者・秀吉の関心をひき、その軋轢(あつれき)が、お吟と利休を苛酷な運命の袋小路に引きずりこむ……。戦国の世を生きた薄幸の美女を描き直木賞を受けた名作に、平家滅亡に生涯を賭した僧の生きざまを綴る『弱法師(よろほうし)』を加えた本格歴史小説集。
(講談社より)
「勝烏」穂積驚
第35回(1956年・上半期)
「壁の花」今官一
「燈台鬼」南條範夫
第34回(1955年・下半期)
「強力伝」新田次郎
山岳小説の白眉「強力伝」ほか4作の傑作選
男はなぜ180キロもある巨石を背負って白馬山頂を目指したのか……?
徹底的な取材に基づいて実在の人物像に迫り、この無謀な計画がもたらした悲劇と男の友情を描いて“山岳小説の白眉”と称された著者処女作「強力伝」(第34回直木賞受賞作)。
ほかに、極寒の富士山に挑む気象観測官の物語「凍傷」や、「春富士遭難」、「殉職」、「新雪なだれ」と、いずれも富士山を舞台に過酷な自然と闘う人間の壮絶なドラマを描く4作品で構成された[新田次郎山岳小説・傑作選]。登山家・今井通子氏による1995年当時の解説も再収録。
(小学館より)
「香港」邱永漢
金だけだ。金だけがあてになる唯一のものだ――。
(中央公論新社より)
戦後まもない香港で、故郷を捨てた台湾人たちがたくましく生き抜く姿を描き、一九五六年、外国人初の直木賞受賞作となった「香港」。日本統治と国民党の圧政のもと、ある台湾人青年が味わった挫折と虚無を主題とする「濁水渓」。著者の青春時代が結晶した代表作に、作家デビュー当時を回顧した随筆「私の見た日本の文壇」を増補した新版。〈解説〉東山彰良
第33回(1955年・上半期)
該当作品なし
第32回(1954年・下半期)
「ボロ家の春秋」梅崎春生
「桜島」「日の果て」などの戦争小説の秀作をのこした梅崎春生のもう1つの作品系列、市井の日常を扱った作品群の中から、「蜆」「庭の眺め」「黄色い日日」「Sの背中」「ボロ家の春秋」「記憶」「凡人凡語」の計7篇を収録。諷刺、戯画、ユーモアをまじえた筆致で日常の根本をゆさぶる独特の作品世界。
(講談社より)
「高安犬物語」戸川幸夫
人と環境を徹底考証した巨匠 戸川幸夫待望の復活!
幻の狩猟犬の壮絶な生を描く表題作なと9編
熊を追って幾日でも雪山を歩く耐久力と一度噛みついたら獲物が倒れるまで話さない闘魂を持つ高安犬。
(講談社より)
その最後の一頭、チンの壮絶な生を、愛を込めて描く直木賞受賞作『高安犬物語』はじめ、
失われし日本の美しい自然を切り取った『爪王』『悲しき絶叫』『羆が出たア』など9編を収録。
第31回(1954年・上半期)
「終身未決囚」有馬頼義
第30回(1953年・下半期)
該当作品なし
第29回(1953年・上半期)
該当作品なし
第28回(1952年・下半期)
「叛乱」立野信之
昭和十一年二月二十六日朝まだき、降りしきる雪の中、首相はじめ政府要人が次々に襲撃・殺害された。憂国の陸軍青年将校らが「尊皇討奸」を掲げ、ついに行動したのだ。しかし、正義の決起は徐々に逆賊・叛乱の名を被せられ、主要メンバーは極刑に処される。皮肉な運命を克明に追い、維新に身を投ぜんとする若者たちの情熱や不安、困惑を鮮やかに浮き彫りにした、二・二六事件のドキュメント・ノベル。第二十八回(昭和二十七年)直木賞受賞作。
(学研プラスより)
第27回(1952年・上半期)
「罪な女」他 藤原審爾
夫と子供の不在の一夜、強盗に踏みこまれた、一人の平凡な主婦と強盗との接点を、誰にでも日常的に起こり得る恐怖と描く心理サスペンス『赤い殺意』。貧しく不幸に生まれ、ただ一筋に男に尽くすしかない可愛い女を浮き彫る直木賞受賞「罪な女」。精細な心理描写の丹念な積み重ねと、定評のある女の情感描写の双方が響き合って、人間の哀しさと人間愛へと収斂(しゅうれん)されていく長短編の代表作を収録。
(講談社より)
第26回(1951年・下半期)
「鈴木主水」久生十蘭
「イエスの裔」柴田錬三郎
第25回(1951年・上半期)
「英語屋さん」他 源氏鶏太
入社10年の風間京太は、気難しい社長の出張に随行を命じられた。お眼鏡に適えば、大出世。機嫌を損ねたら、お先真っ暗。社長は現地にいる元愛人との逢瀬を企んでいるが、夫人からは二人の密会を阻止せよ、と厳命されており…。風間の選択は!?(「随行さん」)ほか、サラリーマンの哀歓を描く全10編。不条理な職場や理不尽な上司に喘ぐ、若い読者こそ必読。働き方のヒントは、昭和の名作にあった!
(集英社より)
第24回(1950年・下半期)
「真説石川五右衛門」「長恨歌」檀一雄
第23回(1950年・上半期)
「天皇の帽子」今日出海
「執行猶予」小山いと子
第22回(1949年・下半期)
「海の廃園」山田克郎
第21回(1949年・上半期)
「面」「刺青」他 富田常雄
第21回(1945年・上半期)
第二次世界大戦の為、4年間中断
第20回(1944年・下半期)
該当作品なし
第19回(1944年・上半期)
「ニューギニア山岳戦」岡田誠三
第18回(1943年・下半期)
「山畠」「蛾と笹舟」森荘已池
第17回(1943年・上半期)
「日本婦道記」山本周五郎が受賞を辞退
第16回(1942年・下半期)
「強情いちご」他 田岡典夫
「寛容」他 神崎武雄
第15回(1942年・上半期)
該当作品なし
第14回(1941年・下半期)
該当作品なし
第13回(1941年・上半期)
「雲南守備兵」木村荘十
第12回(1940年・下半期)
「上総風土記」他 村上元三
第11回(1940年・上半期)
「小指」他 堤千代
「軍事郵便」河内仙介
第10回(1939年・下半期)
該当作品なし
第9回(1939年・上半期)
該当作品なし
第8回(1938年・下半期)
「秋田口の兄弟」「兜首」大池唯雄
第7回(1938年・上半期)
「ナリン殿下への回想」橘外男
第6回(1937年・下半期)
「ジョン万次郎漂流記」他 井伏鱒二
もし井伏鱒二の手にかからなかったら、
「ジョン万次郎」の生涯はこれほど生彩を帯びなかっただろう―。都を落ちのび瀬戸内海を転戦する平家一門の衰亡を、戦陣にあって心身ともに成長して行く若き公達の日記形式で綴った「さざなみ軍記」。
(新潮社より)
土佐沖で遭難後、異人船に救助され、アメリカ本土で新知識を身につけて幕末の日米交渉に活躍する少年漁夫の数奇な生涯を描く直木賞受賞作「ジョン万次郎漂流記」。
他にSFタイムスリップ小説の先駆とも言うべき「二つの話」を収める会心の歴史名作集。
第5回(1937年・上半期)
該当作品なし
第4回(1936年・下半期)
「人生の阿呆」他 木々高太郎
比良カシウにはいっていたと思われるストリキニーネのために死者が出、比良家は家宅捜査を受けた。その時、物置小屋から無産党の弁護士の射殺体が発見される。そして、殺害時と目される日に、社長の息子良吉は、モスクワへ向けて旅立っていた……。直木賞を受賞し、著者の作家的地位を確立した作品を、初版の体裁を復元して愛好家に贈る。
(東京創元社より)
第3回(1936年・上半期)
「天正女合戦」「武道伝来記」他 海音寺潮五郎
第2回(1935年・下半期)
「吉野朝太平記」鷲尾雨工
第1回(1935年・上半期)
「鶴八鶴次郎」「風流深川唄」他 川口松太郎
鶴賀鶴八と鶴次郎は女の三味線弾きに男の太夫と珍しい組み合わせの新内語り。若手ながらイキの合った芸で名人と言われる。内心では愛し合う二人だが、一徹な性格故に喧嘩が多く、晴れて結ばれる直前に別れてしまう。裕福な会席料理屋に嫁いだ鶴八と、人気を失い転落する鶴次郎。三年後再会した二人の行く末を描く表題作に、『風流深川唄』など三編収録の傑作集。
(光文社より)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
芥川龍之介賞同様で、ここまでお読み頂いた方は、多分ほとんどいないでしょう。笑
直木三十五賞はエンターテイメントが主軸の賞ではありますが、それでも根本的な人間を書くという点はかなり重視されていると思います。
その結果がこの傑作たちの集いになっているのではと思いました。
私自身、この記事を書きながらついあらすじを読んでは、次にこれを読もう、あ、こっちも気になるから読もうと違う意味で大変でしたが、すごく楽しかったです。
随時感想の方もあげていきたいと思います。
またこれからの未来の直木三十五賞にも注目ですね。
今日はこれでおわります。最後までお読み頂きありがとうございました。
失礼します。